銀の龍の背に乗って

銀の龍の背に乗って   中島みゆき



あの蒼ざめた海の彼方で

今まさに誰かが傷(いた)んでいる


まだ飛べない雛たちみたいに

僕はこの非力を嘆いている


急げ悲しみ 翼に変われ

急げ傷跡 羅針盤になれ


まだ飛べない雛たちみたいに

僕はこの非力を嘆いている


夢が迎えに来てくれるまで

震えて待ってるだけだった昨日


明日僕は龍の足元へ崖を登り

呼ぶよ「さあ、行こうぜ」


銀の龍の背に乗って 届けに行こう

命の砂漠へ


銀の龍の背に乗って運んで行こう

雨雲の渦を





失うものさえ失ってなお

人はまだ誰かの指にすがる


柔かな皮膚しかない理由(わけ)は

人が人の傷みを聴くためだ



急げ悲しみ 翼に変われ

急げ傷跡 羅針盤になれ


まだ飛べない雛たちみたいに

僕はこの非力を嘆いている


わたボコリみたいな翼でも

木の芽みたいな頼りない爪でも


明日僕は龍の足元へ崖を登り

呼ぶよ「さあ、行こうぜ」


銀の龍の背に乗って届けに行こう

命の砂漠へ


銀の龍の背に乗って運んで行こう

雨雲の渦を




銀の龍の背に乗って運んで行こう

雨雲の渦を





銀の龍の背に乗って



銀の龍の背に乗って



銀の龍の背に乗って



銀の龍の背に乗って


    ・

    ・

    ・

命の別名

命の別名   中島みゆき



知らない言葉を覚えるたびに

僕らは大人に近くなる


けれど 最後まで覚えられない

言葉もきっとある


何かの足しにもなれずに生きて

何にもなれずに消えてゆく


僕がいることを喜ぶ人が

どこかにいてほしい


石よ樹よ水よ ささやかな者たちよ

僕と生きてくれ

くり返す哀しみを

照らす灯をかざせ


君にも僕にもすべての人にも

命に付く名前を「心」と呼ぶ

名もなき君にも名もなき僕にも




たやすく涙を流せるならば

たやすく痛みもわかるだろう

けれども人には

笑顔のままで泣いてるときもある


石よ樹よ水よ僕よりも

誰も傷つけぬ者たちよ


くり返すあやまちを

照らす灯をかざせ


君にも僕にもすべての人にも

命に付く名前を「心」と呼ぶ

名もなき君にも名もなき僕にも




石よ樹よ水よ僕よりも

誰も傷つけぬ者たちよ


くり返すあやまちを

照らす灯をかざせ


君にも僕にもすべての人にも

命に付く名前を「心」と呼ぶ

名もなき君にも名もなき僕にも


命に付く名前を「心」と呼ぶ

名もなき君にも名もなき僕にも

欲望

欲望



         (スッタニパータ)

766

欲望をかなえたいと望んでいる人が、もしもうまくゆくならば、かれは実に人間の欲するものを得て、心に喜ぶ。


767

欲望をかなえたいと望み貪欲(とんよく)の生じた人が、もしも欲望をはたすことができなくなるならば、かれは、矢に射られたかのように、悩み苦しむ。


768

足で蛇の頭を踏まないようにするのと同様に、よく気をつけて諸々の欲望を回避する人は、この世でこの執著をのり超える。


769

ひとが、田畑、宅地、黄金、牛馬、奴婢(ぬひ)、傭人(やといにん)、婦女、親族、その他いろいろの欲望を貪(むさぼ)り求めると、


770

無力のように見えるもの(諸々の煩悩)がかれにうち勝ち、危うい災難がかれをふみにじる。それ故に苦しみがかれにつき従う。あたかも壊(やぶ)れた舟に水が侵入するように。


771

それ故に、人は常によく気をつけていて、諸々の欲望を回避せよ。船のたまり水を汲み出すように、それらの欲望を捨て去って、激しい流れを渡り、彼岸に到達せよ。





ダンマパダ

283

一つの樹を伐るのではなくて、(煩悩の)林を伐れ。危険は林から生じる。(煩悩の)林とその下生(したば)えとを切って、林(=煩悩)から脱れた者となれ。修行僧らよ。




原始仏教の欲望と煩悩に関する表現です。




私は、これらの言葉の正しさについて私なりに日常生活のなかで、検証しておりました。


結果は、どうも、正しい。少なくとも私に関しては、正しいと言える。


長年、欲望を追いかける生活をしておきながら、今更なんですが、欲望の林を切ってみようと徐々に思うようになりました。


具体的にいうと、煩悩の代表的な酒、女、ギャンブル、タバコを一度全部やめてみようと思うわけであります。


全部やめて、リスタートしてみようと思うわけであります。


一部停止中のものもありますが、私の場合、タバコが、一番の難敵です。


しかし、始めました。3/20の彼岸の日から禁煙を始めました。私は強いニコチン依存症ですから、医療機関を利用します。


3カ月後、良い結果をだせたらと望んでおります。


それで、他に何か楽しみは、あるかというと、種はあるわけで、それらを育てるのと、新しいものを見つけるつもりです。


揺り戻しに気を付けて、身を沈めてみるのです。


私のニルヴァーナへの道で間違っていないと思うのですが。


まあ、先のことは、またそのとき考えます。



          サーヴァカ